「誰に」「何を」「どうやって」自社商品・サービスの魅力を伝えるか『訴求』を決めた後は、いよいよ検証です。本コラムでは、LPを利用して『訴求』をABテストする方法を、「CTA」「ファーストビュー」「セカンドビュー」に特化してお伝えします。
【目次】
1.なぜ難しい?LPで成果があがらない理由
2.ABテストの優先テーマ
3.実践方法①:CTA
4.実践方法②:ファーストビュー
5.実践方法③:セカンドビュー
6.まとめ
1.なぜ難しい?LPで成果があがらない理由
【LPとは?】
ランディングページ(Landing Page)とは、検索結果や広告の「クリック先のページ」のことです。
その名の通り、訪問者が最初に着地(land)するページです。
通常、「申込」「予約」「購入」などの具体的なアクション(CV)を誘引する、重要なページになります。
【LPでのABテストが難しい理由】
LPは、紙媒体やリスティング広告やバナー広告とは異なり、「コンテンツ(情報量)」に上限がありません。
その分、欲張りすぎて情報を詰め込みすぎると、訪問者にとって何が良い情報なのか?わからなくなります。
それだけではありません。
どれくらいの情報量が良いのか?
購入・申し込み・資料請求の誘導方法は?ボタンは何色?言葉は?
キャッチコピーは?
などなど、迷う対象、つまり「テスト対象」が膨大に存在するため、ABテストの難易度は必然的に高くなります。
● ABテストの対象(例)
・キャッチコピー・メイン画像
・商品・サービスの説明
・課題・よくある悩み
・ベネフィット・利点
・特徴・選ばれる理由
・実績・メディア掲載情報
・事例・体験談
・CTA(申込・購入ボタン)
・オファー・特典
・FAQなど
特にメーカー系企業の場合、商品に対する「こだわり」が強すぎるあまり、顧客の心理状況やニーズを無視した「主観的な訴求」になりがちです。
商品・サービスに独自性があり、品質が高いのは素晴らしいことですが、それを「顧客に伝わる形で」表現する必要があります。
2.ABテストの優先テーマ
膨大な「テスト対象」が存在するLPでは、どのようにしてABテストを進めれば良いのでしょうか?
弊社は以下のテーマを優先的にテストすることをおススメします。
1)CTA
2)ファーストビュー
3)セカンドビュー
理由は、上記が全て「成約率(CVR)」への影響が大きいテーマだからです。
そして、
・位置を変えるだけ
・色を変えるだけ
・キャッチコピー(テキスト)を変えるだけ
など、他のテーマよりも比較的シンプルな方法で成果アップを狙うことができるのも理由です。
対象顧客や取り扱い商材などによって多少の違いはありますが、基本的には上記テーマを上記順番で検証するのがおススメです。
では、それぞれのテーマを具体的にどのようにテストすればよいのか、順番に解説します。
3.実践方法①:CTA
CTAとは、“Call To Action(コールトゥーアクション)”の略称です。
「申込ボタン」や「購入ボタン」など、サイト訪問者の最終アクション(CV)直前のパーツを指します。
CTAにおけるABテストで最も重要なのが、設置する「位置」です。
具体的には、CTAの位置を「ページ下部」から「ページ上部」へ変更するだけで「CVR(成約率)」が大幅に改善された事例が複数社あります。
または、「ページ右側に固定」してみるのも有効な方法です。
CTAはCV直前の大切な導線ですが、サイト運営者にとっては当たり前のボタンでも、サイト訪問者にとっては「わかりにくい」というケースが少なくありません。
私たちも、今となっては優先すべきテーマとして掲げていますが、この効果を初めて発見した時は、少し驚きでした。
「色」や「大きさ」、「表記の仕方(言葉遣い)」など、CTAだけでも様々な「テスト方法」がありますが、実践しやすくかつ成果が出やすいのが「位置」なので、まずはCTAの「位置」をサイト訪問者にとって認識しやすい「ページ上部」や「ページ右側」に移動してみると良いでしょう。
余談ですが、一昔前、カートボタンの「鉄板色」を提唱していたコンサルタントがいたそうですが、LPやサイト全体のベース色があっての「視認性」です。
色の検証をすること自体は大切ですが、「どんなサイトにも通じる鉄板色」は存在しません。
※コラム:【事例公開】50日間でCVRを2倍に改善したABテスト
4.実践方法②:ファーストビュー
ファーストビュー(First View)とは、「サイト訪問者の目に最初に映る部分(下にスクロールしなくても確認できる範囲)」を指します。
サイト訪問者がページを下にスクロールするかどうかを決める重要テーマです。
ファーストビューは主に「キャッチコピー(テキスト)」と「画像」で構成されますが、特に効果を期待できるのが「キャッチコピー」です。
ABテスト未実施の企業であれば、最も成績の悪い「キャッチコピー」を採用し続けている可能性があります。
例えば、「簡単さ」を最も重要な商品価値だと考えている企業が、以下のようなキャッチコピーを考えたとしましょう。
● 「子どもでも簡単に○○できる!」
しかし、顧客の購買動機が「このページなら安心して商品を購入できる!」という「安心感」だった場合、上記のキャッチコピーは全く刺さりません。
また、以下のような特徴を押し出したキャッチコピーがあったとします。
● 「女性限定!安心安全なフィットネス!」
上記でも悪くはありませんが、サイト訪問者に、より「あっ、私のことだ!」と思ってもらうためには、
● 「20代女性限定!安心安全なフィットネス!」
と、訴求した方が、対象者が振り向く可能性が高まります。
「要はその商品・サービスを一言で言うと何なの?」というシンプルな視点に立ち、対象顧客の興味関心を惹きつけて「さらに知りたくなる(ページを下にスクロールしたくなる)言葉」でなければなりません。
案が浮かばなかった時は、実際の顧客に購買動機を聞いてみるのも、有効な手段の一つです。
自社が伝えたい主観的な内容ばかりではなく、「サイト訪問者の心に響く要素」をテストできると良いですね。
5.実践方法③:セカンドビュー
セカンドビュー(Second View)とは、ファーストビューの下に位置するコンテンツです。
CTAをページ上部へ移動(もしくはページ右側に固定)し、
ファーストビューでサイト訪問者に響くキャッチコピーを検証したのち、
「ファーストビューの下にどのようなパーツを置くのがベストか?」を検証します。(※下図参照)
結論から申し上げますと、「セカンドビューではこれを置けば正解」というのはありません。
セカンドビュー以降は、「ページ構成」や「ストーリー(流れ)」に紐づくため、
以下のような観点が必要になり、一概に「このパーツを置けば正解」とは言えないのです。
● 「ページ全体で一貫した訴求ができているか?」
● 「コンテンツの順番は適切か?」
ただ、弊社の経験上、ファーストビューで訴求したキャッチコピーの「裏付けとなる要素」を掲載するのが、基本方針としておススメです。
具体的には、以下のような「実績」や「第三者権威づけ」となるパーツを置くのが有効です。
● 実績(例)
・累計販売個数・出荷数
・導入社数
・顧客満足度
・雑誌やメディア掲載実績
・業界経歴など
● 第三者権威付け(例)
・エンブレム(○○ナンバーワン!○○大賞受賞!など)
・利用者の声
・第三者機関による認定マーク
・専門家レビュー
・研究結果など
ファーストビューのキャッチコピーでサイト訪問者が抱いた「なんとなくすごそう!良さそう!」という“感覚”を、セカンドビューで「間違いない!きっとこれだ!」という“確信“へと意識変容させるために、「根拠」となる要素を提示します。
ファーストビューと同様に、企業側が押し出したい要素や専門用語をただ列記するのではなく、「何が実際に購買の決め手になっているのか?」という視点に立って、セカンドビューを検証します。
6.まとめ
いかがでしたか?最後に、ポイントを整理します。
- LPで優先的にABテストすべきなのは「CTA」⇒「ファーストビュー」⇒「セカンドビュー」
- CTA:「ページ上部へ移動」もしくは「ページ右側に固定」する。サイト訪問者がアクション(CV)しやすいように、購買導線をわかりやすくする。
- ファーストビュー:キャッチコピー(テキスト)の検証から始める。「何が購買の決め手になっているのか?」という顧客の視点に立つ。
- セカンドビュー:正解はない。ファーストビューで訴求したキャッチコピーの「裏付けとなる要素」を提示する。
以上となります。