【失敗事例】こんな広告主はヤバい④~「新規顧客/既存顧客」の区別が無い~│デジマログ
こんな広告主はヤバい④_新規顧客・既存顧客の区別が無い

広告は、「新規顧客」の獲得を目的として運用する企業が大半です。投資効果を正確に把握するためには、「CV」を一括りで管理せずに「新規顧客」と「既存顧客」に分ける事が重要です。本コラムは4回シリーズの最終回です。広告運用に関する「自社のスタンス」を見つめ直す機会にして頂けると幸いです。

前回までの内容はこちらをご確認ください。
※コラム:【失敗事例】こんな広告主はヤバい①~「代理店」や「コンサル会社」に丸投げ~
※コラム:【失敗事例】こんな広告主はヤバい②~「評価指標」の設定が甘い~
※コラム:【失敗事例】こんな広告主はヤバい③~管理画面やレポートを「眺めて」終わり~

【目次】
1.売上構成から考える
2.【Aランク級】「新規顧客」と「既存顧客」を分けずに成果管理
3.なぜヤバいのか?「理由」と「対策」を解説!
4.終わりに

1.売上構成から考える

売上構成から考える

 

売上は、「新規売上」と「リピート売上」によって構成されます。

新規売上   :「1回目の購入者(新規顧客)」だけで構成される売上
リピート売上 :「2回目以降の購入者(既存顧客)」だけで構成される売上(※下図参照)

売上は、「新規売上」と「リピート売上」によって構成される

 

広告など、様々な「施策」によって新規顧客を「集客」し、「成約」すると、「新規売上」となります。
また、既存顧客が、何かしらの「施策」に「接触*」し、再び「成約」すると、「リピート売上」になります。
*接触:既存顧客は連絡先が取得済みなので「接触」と表記していますが、「集客」と同義です。

2.【Aランク級】「新規顧客」と「既存顧客」を分けずに成果管理

【Aランク級】「新規」と「リピート」を分けずに成果管理

 

前章で確認した通り、売上は「新規売上」と「リピート売上」に分けて考えられます。
同様に、集客も「新規顧客」と「既存顧客」を区別する事が大切なのですが、分けて管理していない企業は要注意です。

具体的には、以下の状態です。

● 広告レポートでは「新規顧客」と「既存顧客」の区別がなく、「CV」として一括りにカウントされている。
● 「新規向け」と「リピート向け」を意図する事なく、施策を検討・検証している。

前回のコラムでも触れましたが、対象顧客は、SNSなど様々なプラットフォームを横断・行き来しています。
そのため、あっちでもこっちでも広告がクリックされる事で、『重複CV』が発生します。
※コラム:【失敗事例】こんな広告主はヤバい③~管理画面やレポートを「眺めて」終わり~

仮に、広告レポートでは「500件」のCVがついていても、実際は「200件」の受注しかない、というのはよくある事です。

さらに、、、
受注件数「200件」のうち、新規顧客は「100件」だった、というケースもあります。

つまり、「新規顧客を獲得したい!」という意向で広告運用を始め、うまく集客できた(=500件)と思っていても、フタを開けてみたら「それほど新規は獲得できていなかった…(=100件)」というケースが珍しくないのです。

3.なぜヤバいのか?「理由」と「対策」を解説!

なぜヤバいのか?「理由」と「対策」を解説!

 

【なぜヤバいのか?】
「投資効果を正確に把握できなければ、各施策の精度を高める事」ができなくなるからです。

広告媒体への投資で考えてみましょう。
「新規顧客」の集客のみに投資するA社と、「新規顧客」も「既存顧客」も区別せずに集客するB社。
投資効率が高いのはどちらでしょうか?

当然A社ですよね。
連絡先を取得している「既存顧客」に対して、わざわざ広告費を投じるのは効率的とは言えません。
主たる投資は「新規顧客」に集中すべきです。
(案内しても反応がない顧客は一定数いるため、セールやイベントなど、時には既存顧客に対する広告投資が必要なケースもあります。)

 

【どうすれば良いのか?】
次の3点を意識しましょう。

1)有料媒体への広告投資は、原則、「新規顧客」のみに集中する。
2)「新規顧客」と「既存顧客」に分けて、広告などの成果を評価する。
3)数値を確認し、「新規向け/既存向け」を分けて施策検討する必要があるか?を考える。

 

▼1に関して
一度購入した人にまで再度広告を表示して購入してもらっているようでは、いつになっても事業は成長しません。
Googleをはじめ多くの有料媒体では、設定上「新規顧客」に限定した広告配信が可能です。
広告代理店に委託している企業は、「新規顧客以外には広告を配信しないでください」と伝えて、その方法・手段を提案してもらえればOKです。

 

▼2・3に関して
成果を「新規顧客」と「既存顧客」に分けて評価できるようになると、
自然と「新規向け/リピート向け」に分けて施策を検討できるようになります。

なお、自社で「新規顧客」「既存顧客」を分けた成果管理、施策検討が難しい場合は、
以下のような発信を代理店に投げかける事から始めてみると良いでしょう。

● レポート上のCVに、「新規顧客」と「既存顧客」の区別はあるのか?
● 広告配信や施策に、「新規向け」と「リピート向け」の区別はあるのか?

仮に完璧に分けられなくても、おおよその実態を把握できればOKです。
御社が意図する形で広告配信できないか?を代理店と議論する事が重要です。

4.終わりに

終わりに

 

いかがでしたか?

これまでの連載を整理すると…それぞれ以下の内容になります。

回数 ポイント
第1回 ● 必要最低限の知識を習得する
● 自分軸・自分事で主導権を握る
第2回 ● 集客の目的を再確認する
● 適切な指標を設定する
第3回 ● レポートをぼんやりと眺めない
● 疑問に思った事は率直に投げかける
第4回 ● 新規顧客・既存顧客に分けて成果を管理する
● 新規向け・リピート向けに分けて施策を検討する

ご紹介した内容は、どれも現場あるあるネタであり、1回目で解説した「必要最低限の知識」です。

広告主である皆様が、細かな広告配信の仕様までを理解する必要はありません。
ですが、重点ポイントを押さえておかないと、無駄な投資をする事になります。
知見も蓄積されません。

今からでも遅くありません。本コラムで紹介した内容が、自社のマーケティング活動の目的を再確認し、関係者と議論を重ねる「ヒント」になれば幸いです。

一緒によく読まれている記事