「誰に」「何を」「どうやって」自社商品・サービスの魅力を伝えるか『訴求』を決めた後は、いよいよ検証です。本コラムでは、バナー広告を利用して『訴求』をABテストする方法を、「オーディエンス設定」に特化してお伝えします。
【目次】
1.バナー広告とは?
2.ABテストの対象と意義
3.「オーディエンス」の役割を考慮したABテストの進め方
4.ABテストの設定方法
5.ABテストの検証方法
6.まとめ
1.バナー広告とは?
【バナー広告とは?】
バナー広告とは、ネットワーク広告*の一種で、主に「画像(バナー)」によって表現する広告のことです。
*ネットワーク広告:正式名称『アドネットワーク広告』。WebサイトやSNS、ブログなど複数の広告媒体を集め、それらの媒体に広告をまとめて配信する仕組みの総称です。例:GDN(Google Display Network)、YDN(Yahoo Display Ad Network)、Facebook広告など。
【2つのフォーマット】
バナー広告では、広告入稿する際に2つのフォーマット(型)が存在します。
● フォーマット①:「画像(バナー)」のみを入稿
● フォーマット②:「画像(バナー)」と「テキスト」をセットで入稿
(※下図参照)
2.ABテストの対象と意義
バナー広告におけるABテストの対象は、次の3つです。
①「オーディエンス」
②「画像(バナー)」
③「テキスト」
なお、本コラムではABテストの検証対象を①の「オーディエンス」に絞って解説します。
【➀:オーディエンス】
・ネット上に記録された「属性」「興味関心」「行動履歴」などが紐づけられたデータのことです。
・一言で言えば、どの層(セグメント)にアプローチするか?の対象となる「配信先リスト」のことです。
⇒ オーディエンスは、年齢や性別、職業や居住地などの「デモグラフィックな属性」だけでなく「興味関心」や「行動履歴」など、ネット上のユーザーデータを活用して配信先を設定できます。
【②:画像(バナー)】
・静止画だけなく、動画やアニメーションの場合があります。
・通常、画像上にテキスト(キャッチコピーなど)が含まれます。
⇒ 「画像」は、クリエイティブの良し悪し(センスの有無など)に左右され、いきなりABテストを実施するのは、少しハードルが高いため「優先度下げ」でOKです。
【③:テキスト】
・レスポンシブ広告*での配信を設定した場合でのみ入稿可能。
・「リスティング広告」同様、ABテストの対象は「見出し」と「説明文」です。
⇒ 「テキスト」は、別コラムの内容と重複するため、本コラムでの解説は割愛します。
※コラム:【クリック率up】ABテストのやり方~リスティング広告編~
*レスポンシブ広告:画像やテキストなどの広告素材を「掲載面に合わせて自動調整して配信してくれる広告設定」のこと。本来はデバイスやサイトによって異なるはずの広告表示領域に合わせて「サイズや配置・組み合わせなどを自動調整してくれる」というメリットがある一方で、ABテストの際には「どのパターンが良かったのか?成否の因果関係を正確に把握することが難しい」という側面があります。
色々と書きましたが、「最もABテストを始めやすい!」という理由から、
今回は「オーディエンス」に絞って解説します。
3.「オーディエンス」の役割を考慮したABテストの進め方
検証対象を「オーディエンス」に絞った場合、以下の手順でABテストを進めます。
なお、本コラムでは、「新規ユーザーの獲得」を目的とした広告配信を想定し解説します。
▼ STEP1)オーディエンスを複数パターン考える
・「どんな人に」広告を配信するかを考えます。
・各種メディア側であらかじめカテゴライズされている属性や興味関心をもとに考えます。
・顧客にヒアリングして、ヒントにするのも有効です。
▼ STEP2)バナーを固定してABテストする
・同じバナー(画像&テキスト)を複数のオーディエンスに見せます。
・そうすることで、検証結果は「オーディエンス」だけの要因だと特定できます。
▼ STEP3)検証・効果測定をする
・主項目は「クリック率(CTR)」
・副項目は「コンバージョン率(CVR)」
4.ABテストの設定方法
用意した「オーディエンス」のABテスト案を上述の手順でどのようにして行うのか?
ここでは、Facebookの管理画面を使って詳しく見ていきましょう。
【ABテストの設定方法➀】
まず始めに、「地域」「年齢」「性別」を選択します。
● 地域:
日本などの「国名」、東京などの「都道府県」、渋谷区などの「市区町村」を選択できます。
● 年齢:
13歳~65歳まで、1歳単位で選択できます。
● 性別:
男女どちらか(または両方)を選択できます。
基本的に上記のような「デモグラフィック」な属性は、商品・サービスの顧客ターゲットとしてある程度ブレない要素であるため、実際にABテストの検証で使用するのは「詳細ターゲット設定」になります。(※下図参照)
【ABテストの設定方法②】
「美容商材(ex.化粧品)」を扱う企業様を例として、説明します。
まず始めに、「どんな人に」広告を配信するか、以下のオーディエンスのパターンを考えたとします。
1. 商材(化粧品)を使っている人
2. 見た目に気を使っている人
3. 健康に気を使っている人
この場合、それぞれ以下のようなワードで検索して「詳細ターゲット設定」をします。
1.商材を使っている人
・「化粧品」と検索し、
・「化粧品(興味・関心)」を選択します。(※下図参照)
2.見た目に気を使っている人
・「美容院」に行く人が「見た目に気を使っている人」だと仮定した場合、
・「美容院」と検索し、
・「美容院(興味・関心)」を選択します。(※下図参照)
3.健康に気を使っている人
・「ヨガ」に行く人が「健康に気を使っている人」だと仮定した場合、
・「ヨガ」と検索し、
・「ヨガ(興味・関心)」を選択します。(※下図参照)
【ABテストの設定方法③】
オーディエンスの量があればあるほど最適化されやすくなる(=成果の出る優秀なテストパターンが多く配信されるようになる)ので、「詳細ターゲット設定」は選べるだけ選んでおくのがおススメです。
例えば…
● 見た目に気を使っている人
・「美容院に行く人」以外に「ファッションに興味関心がある人」を選択するのもOKです。
● 健康に気を使っている人
・「ヨガに行く人」以外に「フィットネスに行く人」を選択するのもOKです。
5.ABテストの検証方法
「オーディエンス(※以下Aud.と略)1~3」をABテストした場合の結果が以下だったとします。
※バナー(画像&テキスト)を固定。
繰り返しですが、検証の主項目は「クリック率(CTR)」、副項目は「コンバージョン率(CVR)」です。
「クリック率」が優秀なのは『Aud.3』です。
同様に、「コンバージョン率」が優秀なのも『Aud.3』です。
成果の良いテストパターンを配信し続ける、というのが鉄則ですので、今回の場合は『Aud.3』のみ配信を続け、『Aud.1』『Aud.2』は配信停止、という判断になります。
仮に、全てのテストパターンの配信結果が「優秀」なケースでは全ての配信を続けます。一方で、全ての配信結果が「惨敗」だったケースでは、全ての配信を停止した上で、「オーディエンス」や「バナー(画像&テキスト)」の見直し、場合によってはFacebookという「配信媒体」を再考する必要が出てきます*。
*補足:Facebookでは、広告に対するエンゲージメント(ex.良いね!やコメント、シェアなど)も可視化されます。「クリック率」も「コンバージョン率」も悪く、「エンゲージメント」も低い場合には、想定した「オーディエンス」と「配信媒体(Facebook)」の相性が悪かった、という可能性も考えられます。
6.まとめ
いかがでしたか?最後に、ポイントを整理します。
- ABテストの対象は「オーディエンス」と「画像」と「テキスト」。
- 「画像」と「テキスト」を固定して「オーディエンス」をABテストする。
- その際、「メディア側であらかじめカテゴライズされている属性や興味関心」を選ぶとテストパターンを考えやすい。
- 「クリック率」「コンバージョン率」が優秀なテストパターンを配信し続け、成果の出ないテストパターンは配信を停止する。
以上となります。