Meta広告(Facebook、Instagram)の利用者にとっての必須テーマ「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」。「どういう仕組みなのか?」「システム上のリスクはないか?」「導入するとどんなメリットがあるのか?」など。本コラムでは、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」について解説します。
【目次】
1.Meta広告コンバージョンAPIとは?
2.Meta広告コンバージョンAPIの重要性と誕生背景
3.Meta広告コンバージョンAPIのメリット・デメリット
4.Meta広告コンバージョンAPIの導入方法
5.Meta広告コンバージョンAPIのまとめ
1.Meta広告コンバージョンAPIとは?
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」とは、「Cookieを使用せずに、サーバー経由でMeta広告のコンバージョンを計測するための手法」です。
具体的には、「広告主が持つサーバー」から「Meta社の広告サーバー」へ「イベントデータ」を直接送信する仕組みです。
※Metaビジネスヘルプセンター:コンバージョンAPIについて
<補足>
※正確には、「コンバージョンAPI(CAPI)」という技術そのものは、各媒体によって開発されています。
例:YDA(Yahoo!ディスプレイ広告)、X(旧Twitter)、LINE、TikTok、Pinterest
※本コラムでは「Meta広告(Facebook、Instagram)」にフォーカスして解説します。
詳細は「メリット・デメリット」の章で記載しますが、
従来の計測方法と比較すると以下のような違いがあります。
● 従来の「Metaピクセルタグ*」による計測
From)Webブラウザー ⇒ To)Meta社の広告サーバー
●「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」による計測
From)広告主が持つクライアントサーバー ⇒ To)Meta社の広告サーバー
*Metaピクセルタグとは?
Webサイト上に埋め込む「計測タグ(JavaScriptのコード)」の事です。
設置する事で、「ユーザーがWebサイト上で実行したアクション(イベント情報)」を計測できます。
Meta広告(Facebook、Instagram)では、「計測タグによって取得されたイベント情報」と、「Meta社が保有するユーザー情報」を照合して、マッチしたユーザーをターゲットとして抽出し、広告表示する仕組みになっています。
詳細は、以下のコラムをご参照ください。
【Meta広告】ピクセルとは?概要と設定方法を分かりやすく解説
2.Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)の重要性と誕生背景
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」が誕生した大きな背景として、「Cookie規制の影響」が挙げられます。
※今さら聞けない『Cookie』とは?
EUを筆頭に、アメリカや日本でも「個人情報保護」や「プライバシー尊重」の機運が高まっています。
やがて、「Cookieを用いた個人情報の追跡」が問題視されるようになりました。
従来のコンバージョン計測で使用されたのはWebサイトに設置した「Metaピクセルタグ」でした。
そこで、影響を回避してコンバージョン計測する方法として「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」が誕生しました。(※下図参照)
<補足>
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」は、Metaピクセルタグでは計測し切れなかったデータを補完するものです。
そのため、従来の「Metaピクセルタグ」と ”併用” するカタチで運用する事が、Meta社から推奨されています。
Metaピクセルに加えてコンバージョンAPIも利用し、両方のツールを使って同じイベントを共有します。ピクセル経由で共有するイベントはコンバージョンAPI経由でも共有すること(冗長イベント設定)をおすすめします。
※Metaビジネスヘルプセンター:コンバージョンAPIのベストプラクティス
3.Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)のメリット・デメリット
【メリット】
以下の2つがメリットです。
1)コンバージョン計測の精度向上
2)広告配信の最適化(パフォーマンス改善)
1については、既に述べた通りです。
「Cookieを使用せずに、サーバー経由でMeta広告のコンバージョンを計測するための手法」が「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」です。
そのため、コンバージョン計測の精度が向上します。
2については、個人情報など、Metaへ送信できる情報が広がる事が要因となります。
従来のMetaピクセルタグと比べて、最適化が働きやすくなります。
※Meta for Developers:顧客情報パラメーター – コンバージョンAPI
<補足>
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」の数値改善事例は、Metaの公式サイトから確認できます。
● 通販番組(生放送テレビショッピング)
Halo Offer:FacebookコンバージョンAPIでキャンペーンパフォーマンスを把握
● インテリアEC
Life WareHouse:FacebookコンバージョンAPIでキャンペーンについて詳しいインサイトを得る
● スニーカーEC
via SANGACIO:コンバージョンAPIで成果を拡大
● 求人情報サイト
エン・ジャパン株式会社:コンバージョンAPIの導入で会員登録単価が劇的に改善
● アパレルEC
Thousand Miles:コンバージョンAPIでインクリメンタルな効果が向上した結果に
● エステ
Body Archi Japan:コンバージョンAPI、Metaピクセル、追加のパラメーターを活用してパフォーマンスを改善
● スキンケアEC
株式会社LIGUNA / あきゅらいず:コンバージョンAPIゲートウェイとMetaピクセルの併用で、シグナル強化とパフォーマンスの向上を実現
● 健康食品EC
株式会社フィネス / 豊潤サジー:コンバージョンAPIゲートウェイとMetaピクセルの併用で、シグナル強化とパフォーマンスの向上を実現
【デメリット】
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」を導入した ”後”のデメリットはありません。
しかし、導入する ”前” には、以下の3つの観点で「ハードルが高い」という課題があります。
1)実装工数・費用
専門知識を持ったエンジニアによる設計と実装が必要です。
そのため、時間とコストがかかります。
2)プライバシーポリシーの改定
従来のMetaピクセルタグでも、一部の個人情報をMetaへ送信する事が可能でした。
※Metaビジネスヘルプセンター:ウェブでの詳細マッチングについて
ですが、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」の導入に際して、
Metaへ送信する個人情報を増やす場合には、法務部との確認・調整が必要になります。
安全にサーバー間で通信でき、その情報をリッチにすれば、最適化が働きやすくなります。
ゆえに、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」の導入に伴い、
取り扱う個人情報を増やし、プライバシーポリシーを改定するケースが多いです。
3)マーケ担当者の理解
実装にはマーケティングや広告担当者の「領域外のテーマ」が複数存在します。
全てを把握する必要はありませんが、第三者の協力を得るには「最低限」理解すべきです。
4.Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)の導入方法
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」の導入で必要な手順は、以下の4ステップです。
1.▼ 送信する情報を決める
2.▼ 送信するイベントを決める
3.▼ 実装する
4.▼ テストデータを送信する
【ステップ1:送信する情報を決める】
始めに、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」で「Meta社の広告サーバー」へ送信する「情報(パラメーター)」を決めます。
例えば、「サーバーイベントパラメーター」では、以下の4つが「必須」となります。
1)event_name:標準イベント・カスタムイベントの名前
2)event_time:上記のイベントが発生した日時
3)user_data:ユーザーに関する情報
4)action_source:コンバージョンが発生した場所
Meta社の必須・推奨パラメータをなるべく多く採用する事で、計測精度や数値パフォーマンスが改善されます。
特に、Meta社が推奨している「顧客情報パラメーター」を多く採用しましょう。
イベントがマッチする可能性が高まり、広告パフォーマンスの改善につながります。
使用する顧客情報パラメーターを増やします。顧客情報パラメーターを含むイベント数が多ければ多いほど、また各イベントに含まれる顧客情報パラメーター数が多ければ多いほど、イベントがマッチする可能性が高まります。
※Metaビジネスヘルプセンター:コンバージョンAPIのベストプラクティス
ただし、各社の状況により実装可否や優先度は異なるかと思います。
詳細設計は、以下のテーマを考慮した上で、関係各所へ確認・相談しましょう。
● システムの仕様:開発者、担当エンジニア
● 自社のプライバシーポリシー:法務担当
● 計測制度・パフォーマンスを最大化したい情報:Meta社、委託先の広告代理店
※Meta for Developers:サーバーイベントパラメーター – コンバージョンAPI
※Meta for Developers:顧客情報パラメーター – コンバージョンAPI
※Meta for Developers:標準パラメーター – コンバージョンAPI
【ステップ2:送信するイベントを決める】
続いて、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」で「Meta社の広告サーバー」へ送信する「イベント」を決めます。
この時、イベントの「送信方法」により大きく以下の「3つのパターン」に分かれます。
1)冗長設定:
「すべてのイベント」を「Metaピクセルタグ」と「コンバージョンAPI」で送信する
2)分割設定:
「一部の重要なイベントのみ」を「コンバージョンAPI」で送信し、
「それ以外のイベント」を「Metaピクセルタグ」で送信する
3)サーバーのみの実装:
「すべてのイベント」を「コンバージョンAPI」で送信する
Cookie依存の計測から完全に脱却し、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」のみで運用する方法は「3」です。
しかし、Metaは「1」>「2」>「3」の順に実装・動作検証する事を推奨しています。
詳細は、システムの仕様を理解している「開発者」や「担当エンジニア」に確認・相談しましょう。
※Meta for Developers:エンドツーエンド実装 – コンバージョンAPI
【ステップ3:実装する】
設計が終わったら、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」を実装します。
大きく4つの方法があります。
1)Meta広告と連携できるプラットフォームを利用する
Meta広告と統合できるパートナー(プラットフォーム)と連携する事で、手軽に導入できます。
連携可能なパートナー(プラットフォーム)は多いのですが、詳細は、次のリンクよりご参照ください。
※Metaビジネスヘルプセンター:パートナー連携
2)自社で仕組みを構築する
統合できるパートナー(プラットフォーム)を利用していない場合は、自社で仕組みを構築する必要があります。
システムの仕様を理解している「開発者」や「担当エンジニア」に確認・相談しましょう。
3)サーバーサイド用のGoogleタグマネージャー(GTM)を利用する
「2」よりは難易度が低くなりますが、登場人物が多くなる点は注意が必要です。
ex.GTMを操作できる人、支払い情報を持っている人、自社サイトドメインのDNS設定ができる人
詳細は、以下のリンクよりご参照ください。
※Meta for Developers:Googleタグマネージャ用コンバージョンAPI
※Googleタグマネージャー – サーバーサイド│Google for Developers
4)実装できる有償ツールを利用する
各ベンダーから提供されている有償ツールも増えてきています。
簡単に導入する事もできるようなので、自社のリソースを考慮し、検討しても良いでしょう。
● 株式会社グラフトンノート:C-POP
● 株式会社イルグルム:CAPiCO
※なお、弊社は、いずれの企業様とも利害関係がありません。
検証する際は、お客様ご自身で問い合わせ、評価しましょう。
【ステップ4:テストデータを送信する】
実装まで完了したら、実際に「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」を使用してテストデータを送信します。
送信後、Metaのイベントマネージャーでテストデータが受信されている事を確認し、「本番運用」へと進みましょう。
5.Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)のまとめ
いかがでしたか?
「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」に関して、ポイントをまとめると、以下の通りです。
● Meta社が「Cookie規制の影響を回避したコンバージョン計測」を実現するために開発した
● 導入する事でMeta広告(Facebook、Instagram)のコンバージョン計測の精度を向上できる
● その結果「CTR」や「CVR」、「CPO」といった各数値のパフォーマンス改善を期待できる
● Meta社は「ピクセルタグ」と「コンバージョンAPI(CAPI)」の「併用」を推奨している
● 開発者や担当エンジニアに相談しながら詳細を設計する
● 実装する方法は次の4つ
1)Meta広告と連携できるプラットフォームを利用する
2)自社で仕組みを構築する
3)サーバーサイド用のGoogleタグマネージャー(GTM)を利用する
4)実装できる有償ツールを利用する
Cookie規制が進む中、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」を使った計測は急務となります。
Meta広告(Facebook、Instagram)の配信を促進し、数値改善を行なうために、「Meta広告コンバージョンAPI(CAPI)」が欠かせない事は、弊社の支援事例からも実証できています。
詳しい事例など、ご興味がある方は弊社までお問い合わせ頂ければ幸いです。
それでは、また別のコラムでお会いしましょう。
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