OpenAI社が提供するChatGPT。マーケティング現場でもChatGPTを活用したサービスが増えています。ChatGPTを活用すると、仕事の効率が劇的に変わります。ただし、コツが必要です。今回は、ChatGPTの概要と活用方法について、プロンプト例を交えながら解説します。
【目次】
1.ChatGPTとは?
2.マーケティング現場で活用が広がるChatGPTの関連サービス
3.ChatGPTをマーケティング現場で活用する方法:スグに使えるプロンプト例
4.ChatGPTを活用するための基本的なコツ3選
5.ChatGPTを120%活用するためのテクニック5選
6.ChatGPT利用時の注意点:できない事・苦手な事を理解する
7.終わりに
1.ChatGPTとは?
「ChatGPT(チャットジーピーティー)」は、OpenAI(オープンエーアイ)社が開発したAIチャットボットです。
ユーザーの命令に対して高度に対応してくれるのが特徴で、そこから得られる情報は非常に有益です。
2ヶ月で1億アクティブユーザーに到達したという驚異的な事実が、その性能の高さを示しています。
ChatGPTには「無料版(GPT-3.5)」と「有料版(GPT-4)」があり、両者の主な違いは性能です。
無料版だと5回のやりとりで内容があやふやになりますが、有料版では10回程度までしっかりと覚えてくれるイメージです。
有料版ならではのメリットとして、他にも以下のような特徴があります。
・「処理速度(返答速度)」が速い
・「最新トピックス」をデータ参照できる*
*2023年5月に公開されたベータ版機能で、Web上の最新情報を参照し回答生成する事を可能にしました。
ただし、本コラムを執筆している2023年7月7日時点では、機能が無効化されています。
最新情報はOpenAI社のTwitter情報などをチェックする事をおすすめします。
2.マーケティング現場で活用が広がるChatGPTの関連サービス
ChatGPTは、「広告」や「EC領域」でも活用されています。
以下は、筆者が確認できた関連サービスです。
※なお、弊社はいずれの企業様とも利害関係がありません。
ツール選定は事業主様ご自身の責任で進行して頂くべく、プレス記事のみ紹介します。
【集客・広告領域】
テキスト生成やデータ分析、さらには薬機法チェックに至るまで、様々な用途で利用されています。
・SEO記事生成:Creative Drive
・広告テキスト生成:GMO NIKKO
・広告テキスト生成&効果予測:CRAIS for Text
・薬機法チェック:機械良文
・効果分析:AD-REX
【EC・顧客サポート領域】
商品説明文を自動生成したり、コールセンターで問い合わせ対応を助けたり、あらゆる部分で利用されています。
・商品説明文の生成:BASE AI アシスタント
・FAQ自動生成:ENOKI
・コンテンツチェック:ZETA VOICE
・チャットボット:BOTCHAN AI
・コールセンター:次世代型コンタクトセンター
└ 株式会社NTTマーケティングアクトProCXら3社
└ 株式会社TMJ
3.ChatGPTをマーケティング現場で活用する方法:スグに使えるプロンプト例
【ChatGPTでできる事・得意な事】
では、実際にChatGPTをマーケティング現場で活用するには、どうすれば良いのでしょうか。
まず初めに理解しておきたいのは、ChatGPTをただの検索エンジンとして使うのは間違いだという事です。
なぜなら、ChatGPTが得意なのは「作業」であって、「質問への回答」ではないからです。
※詳細は後述します。
具体的には、以下の作業に向いています。
● アイデア出し・ブレスト
● アイデア整理・レビュー
● 文章の校正・添削
● 文章の要約・引き伸ばし
上記を派生させると、以下のような作業が可能になります。
● 商品コンセプトの策定
● 販促企画の提案
● ペルソナの作成
● 対策キーワードの生成
● SNS投稿文の作成
● メルマガの文章作成
● SEOコンテンツ記事作成
● タイトルやキャッチコピーの提案など
【プロンプト例】
実際に、マーケター向けに「スグに使えるプロンプト例」を紹介します。
リスティング広告における「広告文案を考えたい」という設定です。
例えば以下のように入れると、ChatGPTから有用な返答をもらう事ができます。
ChatGPTに「役割」を与えたり、「数」を指定するとうまくいきやすいです。
このあたりは、次章で詳しく解説します。
4.ChatGPTを活用するための基本的なコツ3選
ChatGPTを効果的に活用するためには、その「仕組み」を理解する事が重要です。
ザックリ説明すると、ChatGPTは「入力された文章(プロンプト)に対して確率的に続きそうな単語を繋げるAI」です。
「昔々」と入力すれば、「あるところに」と返ってきます。
それをさらに続けると「お爺さんとお婆さんが」と続くわけです。
ゆえに、ChatGPTが自発的に「極端なアイデア(続き)」を出す事はなく、必ず無難な返答を出力します。
例えば、「●●に関するタイトル案を教えて」と命令しても、無難なタイトル案しか返ってきません。
そこで、重要になるのは、ChatGPTからもらえる回答を「自分の欲しい範囲に狭める」という事です。
具体的な方法として、以下の3つを紹介します。
1.空間を絞る
2.役割を与える
3.品質を指定する
【コツ①:空間を絞る】
「空間」とは、「文脈」や「前提情報」です。
「空間」を絞る事で、「その空間(前提や条件)の中で最も可能性の高い答え」を返してくれます。
例えば、「Googleについて教えて」という一般的な質問よりも、「広告プラットフォーマとしてのGoogleの位置づけを教えて」と特定の文脈を与える方が、より具体的で有益な返答を得る事ができます。(※下図参照)
【コツ②:役割を与える】
「役割」を与える事で、ChatGPTの返答を「その役割が答えそうな空間」に限定できます。
例えば、「ラッパー」や「小学校の先生」といった具体的な役割を指定すると、返答内容が変化します。(※下図参照)
【コツ③:品質を指定する】
「文字数は●●文字程度」や「箇条書きで●●個」、「ディベート形式で」等の指示を出す事で、答える空間を更に限定できます。(※下図参照)
ご紹介した3つの条件、「空間を絞る」「役割を与える」「品質を指定する」を網羅したのが、第3章で紹介したプロンプトでした。ネタ晴らしをすると、以下の構成になっています。(※下図参照)
上記のコツを押さえると、他にも以下のようなプロンプトを作る事ができます。
ぜひ、ご自身の状況に当てはめて活用してみてください。
▼ 例①
・あなたはプロのマーケターです。【役割】
・新発売のスニーカー『Ultra Run』の商品説明を考えています。【空間】
・次の特徴を基に、××文字程度の商品説明を考えてください。特徴①~~~。特徴②~~~【品質】
▼ 例②
・あなたは独創的なアイデアを出す事で有名な起業家です。【役割】
・健康志向の30代女性をターゲットにした抹茶フレーバーのプロテインバーを販売予定です。【空間】
・この商品の販促企画を10個考えてください。【品質】
▼ 例③
・あなたは新進気鋭のデザイナーです。【役割】
・競合のWebサイト(https://www.amazon.co.jp/)の分析をしています。【空間】
・上記のサイトを思いもよらない観点から分析して、自社の売上を向上させる方法を考えてください。【品質】
5.ChatGPTを120%活用するためのテクニック5選
細かいテクニックになりますが、下記のようなプロンプトを追加すると、より高度な返答をもらう事ができます。必要に応じて、チャレンジしてみてください。
【①:ネットワークエラーの回避】
長過ぎるとネットワークエラーが出るので、分割させると便利です。
例:
ネットワークエラーを避けるために、何回かに分割し、私が「続きを」と言ったら続きを投稿してください。
【②:ポイントをまとめさせてから回答させる】
あらかじめChatGPTにポイントを聞いた上で、そのポイントを押さえた出力をさせると精度が上がります。
例:
●●について考えています。●●が成功するために押さえるべきポイントを教えてください。
ChatGPTの返答:
ポイントは~~です。
例:
上記のポイントを押さえた●●について、5個提案してください。
【③:出力の数を増やす】
1回のやり取りで納得できる回答を得られる事は稀です。
追加の案を出力させると、意外なアイデアに出くわす事があるのでおすすめです。
例:
あと10個提案してください。
【④:候補を絞らせてブラッシュアップする】
多くのアイデアが出た際は、ChatGPTに絞らせてから、より精度の高いアイデアを提案させると良いでしょう。
例:
上記の案の中で、1番目と2番目に●●なアイデアを教えてください。
ChatGPTの返答:
案3と案5です。
例:
では、案3と案5を組み合わせて、最も●●が増える案を完成させてください。
【⑤:クロスレビュー】
「エンジニアの観点から」「経理の観点から」「法務の観点から」など、観点を限定する事で、自身にない視点からレビューをもらえます。
例:
●●の観点から注意すべき事を、箇条書きで5個教えてください。
6.ChatGPT利用時の注意点:できない事・苦手な事を理解する
最後に、ChatGPTの利用時の注意点について解説します。
繰り返しですが、重要なのは「ChatGPTを ”検索として活用する(正しい知識を聞く)” のはやめる!」という事です。
理由①:「過去の情報」を学習しているから
ChatGPTは、2021年9月までのネット情報を学習しています。
そのため、それ以降の情報については理解していません。
ですが、特性上、知らない分野でも「一番確率が高そうな文章」を繋げて、 ”それらしい返答” をする事があります。
理由②:「情報の関連性」を学習しているから
ChatGPTは、個々の情報が持つ「意味」を理解しているワケではありません。
あくまでも情報の「関連性」や「エッセンス」を学習しています。
情報を細かく正確に「丸暗記」しているワケではないので、事実に反した返答をする事が多々あります。
以上の理由から、ChatGPTを検索として活用するのは絶対に避けましょう。
自身がファシリテーターとなり、ChatGPTにブレストやレビューをさせるのは有効ですが、回答をそのまま信じるのは危険です。
必要に応じて他の情報源を参照したり、実際に人間が調整して、検証する事が重要です。
7.終わりに
いかがでしたか?
今回はChatGPTを120%活用する方法を、即戦力となるプロンプト例とともに紹介しました。
AIの進化は驚異的で、その一角を担うChatGPTは、業務の効率化に大いに貢献できるツールです。
ただし、AIは全てを解決する魔法の杖ではありません。
その可能性を最大限に引き出すには、その特性と限界を理解し、AIとの適切なコミュニケーションを続ける事が不可欠です。
そのためのヒントを、本コラムが提供できたら幸いです。
最後に・・・
AIの活用は、広告運用においても非常に重要です。
ヒトによる「AIのコントロール」が、成果の創出に大きな差を生みます。
例:Google(P-MAX)やMeta(Advantage+ ショッピングキャンペーン)
弊社は戦略コンサルティングやデジタル広告運用、クリエイティブテスト等、事業成長を後押しする多様な手段を提供しています。
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今後も、皆さまのビジネスの成長を促進するための有益な情報を提供し続けます。
それでは、また新たなコラムでお会いしましょう!