多くの企業が広告運用をプロに丸投げします。それ自体は問題ないのですが、「最低限の成果管理」は自社で行わないと機会損失に繋がります。本コラムは4回シリーズの第2回です。広告運用に関する「自社のスタンス」を見つめ直す機会にして頂けると幸いです。
前回の内容はこちらを確認ください。
※コラム:【失敗事例】こんな広告主はヤバい①~「代理店」や「コンサル会社」に丸投げ~
【目次】
1.事業成長の第一歩は「指標設定」から!
2.【特Sランク級】指標を設定していない・設定が甘い
3.なぜヤバいのか?「理由」と「対策」を解説!
4.終わりに
1.事業成長の第一歩は「指標設定」から!
突然ですが、皆さんは、「デジタル・Webマーケティングの最大の恩恵」は何だと考えますか?
弊社では、「マーケティング活動・結果のデジタル化」この一点に尽きると考えています。
全ての結果がデジタルデータとして蓄積されていくので、得たデータを正しく活用する事で「成果を最大化」するのが「デジタル・Webマーケティング」に従事する人間の責務だと考えます。
その第一歩が「指標」の設定です。(※下図参照)
「売上」とは、各施策や改善「結果」の積み重ねです。
各施策の合否判定の物差しが「指標」となります。
判定が「×」になった施策は停止となり、その予算は、他の施策へと再投資されます。
多くのネット広告媒体では、運用結果の全てが数値化されるため、「結果」と「指標」を照らし合わせながら、改善・検証など、いわゆるPDCAサイクルを高速で回し、売上を最大化する事ができます。
2.【特Sランク級】指標を設定していない・設定が甘い
前章で確認した通り、デジタル・Webマーケティングの成果を最大化する第一歩が「指標の設定」です。
ですが、明確な指標を設定しないままマーケティング活動をしている企業が多いのが現状です。
指標が未設定な状態や、不明確な状態では、気づかないままに経営資源を垂れ流してしまいます。
また、指標を設定していても、「設定が甘い」「パートナー企業との握りが浅い」ケースが存在します。
これは、マーケティング初心者の方や「私は素人なので…」というセルフイメージから脱却できない方に多く見られます。
「設定が甘い」ケースでは、例えば以下のような指標を採用します。
・滞在時間
・PV数
・メルマガ会員数
・いいね!数
・フォロワー数
3.なぜヤバいのか?「理由」と「対策」を解説!
【なぜヤバいのか?】
滞在時間やフォロワー数といった「間接的な指標」は必要なのでは?
という意見もありそうですが、答えは「No」です。
理由は、大きく2点です。
1)スグに購入される確率の高い「顕在顧客層」の集客に注力してPDCAを回すべきだから。
2)間接的な指標を達成しても、売上や資料請求など「最終CVへの直接的な因果関係」を把握しにくいから。
一般的に、集客目的は「売上アップ」や「新規顧客の獲得」のはずです。
しかし、「間接的な指標」をベースにしたとたんに、議論のテーマが「PV数やメルマガ会員数は増えているのに、売上伸びてこない。なぜか?」といった『指標と結果の因果関係探し』になってしまい、
「目的達成のための議論」が発生しにくいのです。
厳密には、時間と労力を惜しまずにデータを解析する事で、ある程度の因果関係や傾向はつかめるのですが、「成果に直結していない間接的な指標」であるがゆえに、議論が複雑になり、その結果、本来の目的である「売上アップ」や「新規顧客の獲得」に向けた建設的な会話が生まれにくくなるのです。
【どうすれば良いのか?】
事業の目的を再確認し、結果が出た瞬間に投資の「拡大」「停止」の判断を“誰もが”できる指標を設定する必要があります。
ECなどWeb上で決済を完結できるサイトの場合、集客の投資効率を判断する指標として、まずは以下を覚えておいてください。
・CPO:受注1件あたりの獲得コスト
・CPA:顧客1件あたりの獲得コスト
・ROAS:投資に対する売上額ベースでの回収率
・ROI:投資に対する利益額ベースでの回収率
指標というのは便利ですが、複雑になると「因果関係探し」の議論や、「(悪意なき)結論ありき」のアプトプットが正になってしまう時があります。そのため、まずは事業成長に直結する指標づくりから心がけましょう。
※CPO:Cost Per Orderの略。広告費÷注文数
※CPA:Cost Per Actionの略。広告費÷成果(ex.資料請求、メアド登録)
※ROAS:Return On Advertising Spendの略。売上÷広告費×100%
※ROI:Return On Investmentの略。利益÷広告費×100%
4.終わりに
いかがでしたか?
繰り返しですが、デジタル・Webマーケティングの最大の利点は、「数値化」による広告の「拡大・停止の判断が瞬時にできる」点です。
その判断を可能にするのが「適切な指標設定」です。
成果に直結する「指標」を設定し、広告主が結果と事実を正確に把握し、代理店や運用者と同じレベル(またはそれ以上)で対策・方針を会話し、共に困難を突破していければ良きパートナーとなり、事業成長を実現する確率がグンッと高まります。
本コラムと同様、第3~4回でも「御社」が『アリ地獄』にハマらないよう、参考となる事例を紹介します。
事例には「前提条件・付帯条件」がある、という事をしっかりと念頭に置いて、引き続き確認していきましょう。